●会長講演:12/2(土)10:00~10:50(Zoom)

わたしたちのライフサイクルとケアの仕事、精神療法過程など

座長:上野 里絵(東都大学ヒューマンケア学部看護学科)

演者:上別府 圭子(国際医療福祉大学大学院教授)

 

ここにいる私は、これまで暮らしてきた歴史のある私であり、また同時に、いくつかのコミュニティに属して活動している(‘家族’や‘大学’や‘法人’など)。それはあなたも同じ。そんなわたしたちが、今ここで出会って、影響を及ぼし合っている。精神療法における治療者とクライエント(または家族)にも、同様のことが言える。私は大学院生のころから、治療者のライフサイクルと精神療法過程に関心をもっていて、かつて自分の妊娠期に受け持っていた27事例の精神療法過程を詳細に分析したことがある。Person of the therapist(POTT)にも刺激されて、「わたしたちのライフサイクルと仕事」のテーマを精神療法家の視点で再考する。久々の挑戦である。


●特別講演:12/3(日)13:30~14:20(Zoom)

思いやる心は傷つきやすい―ケアする者へのケアの必要性

座長:上別府 圭子(国際医療福祉大学大学院)

演者:武井 麻子(日本赤十字看護大学名誉教授)

 

対人援助職にとって、「思いやり」はなくてはならないものと思われている。確かに、傷ついた人、苦しむ人を見たとき、たいていの人はかわいそうに思い、「どうにかしてあげたい」という気持ちになる。しかし他方で、あまりに衝撃的な場面を見れば、「怖い」と思い、逃げ出したくなるのも事実だろう。つまり、思いやりは、ひとに独特の葛藤を引き起こす心理的ストレスなのである。とくに、対人援助を職業として日常的に行う場合、そうしたストレスに慢性的にさらされることになる。この講演では、コロナ禍での臨床現場に起きたことを振り返りながら、「思いやる心」が働く人と組織にどのような影響を及ぼすのかについて、考えていきたい。


●教育講演①:12/2(土)11:00~11:50(Zoom)

アルコール・薬物依存症からのリカバリー ―当事者の語りから紐解く依存者のリアル

座長:長田 洋和(帝京平成大学大学院臨床心理学研究科(専門職))

演者:渡邊 洋次郎(リカバリハウスいちご)

 

幼少期から感じていた違和感、親との関係性―。何故、非行・薬物使用・自傷行為が必要となっていたのか。何が欠けていたのか。そして「どうにもならない生きにくさ」の結果として繰り返した少年院、精神科病院入退院、刑務所服役。依存者にとって何が必要で何が有効に働いたのか。本人は依存を無くしたかったのか、それとも共存していく事だったのか。社会から見えている表面的な部分と当事者が感じていたモノ。その背景を理解する― 当然、依存者はそれ以前を生きてきたし、その後も生きていく。

一人の依存者の人生の全体像から見えてくるアディクションの問題は個人的な問題に留まるのか、社会において起こる社会的な問題なのかを一緒に考えましょう。


●教育講演②:12/3(日)9:00~10:00(認定産業医研修(対面形式)とZoomのハイブリッド開催)

労働者の睡眠と健康

座長:真船 浩介(産業医科大学 産業生態科学研究所)

演者:影山 隆之(大分県立看護科学大学)

 

人生は睡眠と覚醒から成り、両者はコインの表裏のように分けられないものである。幸福な人生とか、充実した生活と言う場合にも、覚醒時間に何をするかと考えがちだが、実は良い睡眠なくして良い覚醒時間はない。労働者の場合でも、ポテンシャルを十分発揮して働くには、良い睡眠の確保が前提となる。それが確保できない場合、労働者の健康に悪影響があるだけでなく、生産性が低下し、安全上の深刻な問題を生じるおそれもある。今回は、作業管理・作業環境管理・健康管理において必要となる睡眠健康の基礎を確認し、健康教育の要素や、交替勤務者の課題についても考える。


●教育講演③:12/3(日)10:10~11:10(認定産業医研修(対面形式)とZoomのハイブリッド開催)

労働者の健康問題と労災認定ー精神障害を中心に

座長:中野 良吾(創価大学教育学部)

演者:廣 尚典(産業医科大学名誉教授)

 

精神障害が業務上疾病と認定(労災認定)されるための要件を定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」(以下、認定基準)が改正された。近年、精神障害の労災請求件数及び認定件数は、増加の一途を辿り、令和4年度はそれぞれ2683件、710件となっているが、今回の改正による影響が注目されるところである。本話題提供では、労災保険の基本的な考え方を概説したうえで、最新の認定基準の要点、旧版との相違をまとめたい。


●教育講演④:12/3(日)11:20~12:20(認定産業医研修(対面形式)とZoomのハイブリッド開催)

産業医のための職場復帰支援の在り方

座長:廣 尚典(産業医科大学名誉教授)

演者:大西 守(公益社団法人 日本精神保健福祉連盟)

 

産業医として産業精神保健活動に実施するに際し、精神科・心療内科以外が専門であってもメンタルヘルスの対応は不可欠なものとなっている。とりわけ、メンタル不調者の復職判定やその後のフォローには難渋することが少なくない。当日は、復帰判定の原理原則を述べるとともに、生活記録表などのツールの使用法、リワークプログラムの活用とその意義について述べていきたい。